「パルティータ」という曲集は、恐らくチェンバロ用であり、現代ではピアノ演奏に適している。 その点で、後の「平均律クラヴィア曲集」と良く似ている。 しかし、「平均律」は、音楽の教科書であるのに対し、「パルティータ」は、アマチュアとはいえ、大人向けである。 これは、ヴァイオリンのための「パルティータ」が同時に作曲されている点からも明らかである。 高度の技法が要求され、曲の解釈も困難である。 BWV 830には、ヴァイオリン用のパルティータを鍵盤楽器用に編入したと思われる箇所が多い。 そのため、演奏はアマチュアレベルに抑えながらも、内容は、「平均律」には見られないカデンツァのような部分が多く、解釈が困難を極める。 特に、フィナーレに該当する「ジーグ」は、独創的である。