2013/06/01 00:00

LIVE REPORT Dr.SounD 〜DSD聴き比べ実験室〜

2013年5月22日(水)、阿佐ヶ谷LOFTにて行われた新感覚イヴェント「Dr.SounD~DSD聴き比べ実験室~ 勝井祐二×U-zhaanを聴く!」が行われた。これはOTOTOY TV♭にて同タイトルで放送されていた全7回の番組の集大成であり、元OTOTOYインターンで電子書籍「わたしがDSDで泣いた日」の著者であるふじもりさらが企画したもの。出演者には、DSDについて解説してくれる教授役としてOTOTOY代表取締役の竹中直純、DSDのことを知らない生徒代表として元テラスハウス住人でありアーティストのちゃんもも◎、ゲスト・アーティストとしてエレクトリック・ヴァイオリンの第一人者である勝井祐二(ROVO)、タブラ奏者のU-zhaan、という豪華なメンバーが迎えられた。

左から勝井祐二、U-zhaan、ちゃんもも◎、竹中直純、ふじもりさら

スタート前からほとんどの客席が埋まり、それぞれが思い思いにお酒や料理を注文してくつろいでいる様子。会場に貼ってあるのはふじもりお手製の“じかんわり”。なんと給食の時間まで存在していて、さながら学校のよう。そして開始時間になると、「全校のみなさんこんにちは」というふじもりのアナウンスが流れる。非常にゆるい感じでのスタートだ。そしてチャイムが鳴り出演者が登場、竹中は”たけなか教授”だけあって白衣に身を包んでいる。

まずは、「きょうの音」の録音。これは、のちほど聴き比べるための音源の生ライヴ録音だ。ノイズ対策のため空調をストップさせ、会場には静寂が。U-zhaan→勝井祐二の順で、短いソロ・フレーズを演奏し、終了。 「聴き比べるのがたのしみですね! それでは、これから給食の時間に入ります」ということで、とっても早い給食。いまだかつて、音楽のイベントに給食の時間が存在したことがあっただろうか。実はこの時間、録音した音源をmp3とDSDそれぞれに変換するために必要な時間なのだ。このイヴェントのための特別メニューが給食となっており、Delicious、Spicy、Dessertをテーマにしたメニューが登場。そう、頭文字を取って“DSD”。たまらぬいい匂いに見ているこちらもお腹が空いてしまって、思わずカレーを注文してしまった。阿佐ヶ谷LOFTのカレー、美味である。給食を食べながらのトーク・タイムが終わり、20分の休憩が入る。なんともお客さんに優しいイヴェントだ。

聴き比べ中

休憩がおわると、イヴェント・タイトルでもあるプログラムがスタート。先ほど録音した音源の聴き比べがはじまった。聴き比べるのは、普段われわれがいちばん多く触れているmp3と、サンプリング周波数においてCD-DA(いわゆる一般的なCDの規格)の64倍の規格を誇るDSD(2.8MHZ)。ちなみにDSDとは、Direct Stream Digitalの略である。U-zhaanのタブラの音、勝井のヴァイオリン音と、順に聴き比べ感想を言いあうのだが、ちゃんもも◎の意見が的確ですばらしかった。「振動まで細かく伝わってきてびっくりしました! 」まさにその通りで、例えるならば、mp3は木綿、DSDはシルクのような感じとでも言ったらいいだろうか。より生音に近い感じが、空気感まで含めて味わえるのだ。「mp3とDSDの音の違いがわかった方? 」という質問にも、ほとんどのお客さんが手を挙げていた。おそらくいくら言葉で説明しても、DSDの高音質は一度聴いていただかないと伝わらないと思う。ぜひ、一度ご体験ください。

最後に、U-zhaanと勝井のセッション・ライヴ。いやあ、DSDはすごいけどやっぱり生音には適わないな。息が止まるような、圧巻のライヴでした。このライヴ音源も、mp3とDSDの両方で聴けるように、終演後、お客さんにはダウンロード・コードが配られた。

ライヴはもちろん、おいしいご飯が食べられて、勉強できて、おみやげまである。なんてお得感のあるイヴェントなのだろう。ライヴハウスとの組み合わせも、規模感も、雰囲気も、ここしかないと思わせてくれるほどだった。いままでに例をみない新しいイヴェントだったが、お客さんもみな満足した顔で帰っていき大成功だったように思う。新しいイヴェントの可能性を提示してくれた催しだった。(text by 岩瀬知菜美)

〜出演〜
【司会】ふじもり さら(「」著者)
【解説】竹中直純(OTOTOY代表)
【LIVE】勝井祐二(ROVO)×U-zhaan(タブラ奏者)
【生徒】ちゃんもも◎(元テラスハウス住人/アーティスト)
【REC PA】溝口紘美 a.k.a Nancy

【来場特典】勝井祐二×U-zhaanのライヴ音源(DSD+mp3)
【会場限定】DSD音源試聴ブース有

【機材協力】KORG、Timelord

日時 : 2013年5月22日(水)
OPEN 18:30 / START 19:30
場所 :
料金 : 前売 2,000 / 当日 2,500 (飲食代別)
【参考図書】

(電子書籍)

ふじもり さら 著・発行

【価格】105円

「DSDとmp3って何が違うの?」「高音質ってどういうこと?」等々、ふじもり さらによる等身大の知識欲に便乗し、豪華な二人の先生(竹中直純/zAk)による分かりやすい解説で「DSD」を学べるコラム。

購入・立ち読みはから

PROFILE

◆U-zhaan(ユザーン)
オニンド・チャタルジー、ザキール・フセインの両氏からインドの打楽器「タブラ」を師事。'00年よりASA-CHANG&巡礼に加入し、『花』『影の無いヒト』など4枚のアルバムを発表。'10年に同ユニットを脱退後に、U-zhaan × rei harakamiとして「川越ランデヴー」「ミスターモーニングナイト」を自らのサイトから配信リリース。タブラ100%テクノ・ユニット、salmon cooks U-zhaanの名義でも現在までに3枚のアルバムを発表。その他yanokami、、、小室哲哉など数多くのアーティストの作品にもタブラ奏者として参加している。著書に『ムンバイなう。』。



エレクトリック・ヴァイオリンの表現の可能性を追求し続ける第一人者。「1991-1992 JAPAN - UK Festival」の中心展示「VISIONS OF JAPAN」(Victoria and Albert Museum)のサウンド・ディレクターを務め、渡英。帰国後、日本最初期のレイヴ・パーティー「WATER」をオーガナイズする。「渋さ知らズ」のオリジナル・メンバー。他に「」「DEMI SEMI QUAVER」中村達也との「TWIN TAIL」「カルメンマキandサラマンドラ」を始め、様々なグループ / セッションを結成 / 参加。96年、と「」結成。フジロック・フェス、メタモルフォーゼ、ライジング・サン・ロック・フェス、アラバキ・ロック・フェス、ドイツ・メールス・フェス等の国内外のフェスティバルに参加するなどして、90~00年代以降のオルタナティヴ~野外フェスティバルのシーンを牽引した。

02年に初来日したファナ・モリーナ、フェルナンド・カブサッキとの共演を機にアルゼンチンの新しい音楽シーンと交流を深める。09年には、サイケデリック・ロック・バンド「」の結成40周年を記念したアルバムに、スティーブ・ヒレッジと共に参加。以後、「SYSTEM 7」のアルバムにも参加するなどの交流を続ける。2011年「」名義で『』を発表。合同合体のツアーを行った。




※Dr.SounD(ドクター・サウンド) とは?

音質とかデジタルとかHzとかbitとか、なんだかよくわからないし… という方のために、でUstream配信中の”きょういく”番組「Dr.SounD ~DSD聴き比べ実験室~」。ビールを空ける音、お菓子を食べる音、ビンタの音など、身近な(!?)音をDSDで録音し、mp3と一緒に無料配信。「見て、聴いて、気づける」体験型Ustream番組として誕生。

左から さらせんせい、竹中教授、スダさん



※DSD とは?

OTOTOYがいち押しする”超”高音質が「DSD=Direct Stream Digital(ダイレクト・ストリーム・デジタル)」。mp3やwav等のPCM方式の音源とは全く異なる方法(1bitのレコーディング形式)で記録された音声データで、言わば、視覚で言うところの高画質3Dテレビのように立体的で、録音時の空気感がそのまま記録されたような臨場感のある音が特徴です。


OTOTOY DSD 5.6MHz Archive

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