2013/12/13 00:00

SEBASTIAN X 『Power Of Noise』リリース・ツアー・ファイナル

11月22日。ワンマン・ライヴとしては最大キャパシティとなる恵比寿リキッドルームで、SEBASTIAN Xの『POWER OF NOISE』レコ発ツアー最終公演が行われた。世間一般には“いい夫婦の日”といわれることが多いこの11月22日。しかし永原真夏(Vo)にとっても特別な意味を持つ日だという。1stフル・アルバム『FUTURES』に収録されている、「日向の国のユカ」という曲は、永原が実際に飼っていた猫を歌ったものだ。その猫の“ユカ”は、ちょうど2年前のこの日に亡くなったという。特別なこの日に、特別な大舞台に立って歌う。この日だからこそ、歌えるものがある。“いいにゃんにゃんの日”である11月22日、恵比寿リキッドルームにはどんな歌が響き渡るのか。

開演時間の少し前に会場に入ると、人の熱気に圧倒された。かなりの数のお客さんでフロアは埋め尽くされている。場内はざわめきたっていて、どの顔もいまかいまかと待ちきれないほど期待しているのが見てとれる。開始時間を10分ほど過ぎたとき、ふっと暗転。SEが流れると自然に手拍子が沸き起こる。さあ、特別な時間の始まりだ! まずは永原以外のメンバーがステージへ。飯田裕(Ba)は雄たけびをあげながらの登場である。そして歓声とともに、永原が登場! 毎回衣装でも楽しませてくれる永原だが、今回は白いヒラヒラのドレス。思わずフロアから「かわいー!」という声があがる。一曲目の「POWER OF VITAL」が始まるとオーディエンスは手を挙げてそれに応え、バンドもフロアもスタートからテンションはMAXだ! そして間髪入れずに、「サディスティック・カシオペア」へ。沖山良太(Dr)ははちきれんばかりの笑顔でドラムを叩き、ビートを作っていく。メンバーは皆自然体で、広いステージに動きまわる永原、飯田がよく映える。なによりメンバーがいちばんこの日を心待ちにし、全力で楽しんでいるのが伝わってくる。「サマー・ハネムーン・ビート」では、この日最初のコール&レスポンス。SEBASTIAN Xほどコール&レスポンスが似合うバンド、いないんじゃなかろうか? というほど、場内は完全な一体感に包まれる。

アップテンポな曲が続き、フロアもたちまち沸騰していく。「ASO」~「ツアースターピープル」の流れでは、フロアはお祭り状態! 「ASO」では原曲とは異なるアレンジを見せ、一夜を彩る。ギター・アンプとベース・アンプを合わせて使用する飯田の特殊な奏法から生み出される太く歪んだ音はズドンと響き、どんどんと興奮を煽る。「フェスティバル」ではミラーボールが回り、曲名通りまさにお祭り! 「光のたてがみ」ではアバンギャルドなベースを煌びやかなキーボードが包み、ダイナミックでありながら幻想的ななんともいえない空間を作り出す。ここで一呼吸。バラードをはさみ、ガラリと空気を変える。「日向の国のユカ」では、永原は何度も“ユカ”を呼ぶように振り絞って歌う。リヴァ―ヴのきいたキーボードとオレンジの照明に、まるでここが“日向の国”なんじゃないかという錯覚に陥った。

MCをはさみ演奏されたのは「ひなぎく戦闘機」。再びフロアは熱を帯び、フロアの後方まで手が挙がる。「ワンダフルワールド」では大合唱が巻き起こり、「ヒバリオペラ」では恒例のコール&レスポンス。お客さんに言葉を選ばせ、できあがった言葉は“Yeah”、“DNA”、“飲んじゃおう”、“ハッピー”というなんともキテレツなもの。それらを全員で叫ぶのだから、なんだかよくわからないが楽しくないわけがない! 最後は『POWER OF NOISE』の一曲目である「DNA」を演奏、本編は終了となった。

鳴り止まないアンコールに演奏された「GO BACK TO MONSTER」では、ダイヴまで巻き起こる。<最後まで付き合うから アンコールして待ってろよ>と歌い上げる永原にフロアは全力で応え、まだまだアンコールは鳴り止まない! なんとトリプル・アンコールまで演奏され、「F.U.T.U.R.E.」の最後にはステージもフロアも全員でジャンプ! ひたすらに全力で駆け抜け、2時間半にも及んだライヴは幕を閉じた。

終始ピースフルな、圧巻ともいえるすばらしい光景で埋め尽くされたリキッドルーム。新旧織り交ぜたセット・リストは、これまでのSEBASTIAN Xの集大成的な一夜であり、完璧な一夜として彩られていた。しかし同時に、このパワフルさ、オーディエンスを巻き込むダイナミズムはどこまで進化するんだろう? と未知数な可能性も感じさせてくれた。SEBASTIAN Xにとっては、このすばらしい一夜もこれから描いていく壮大な未来にむけての一歩に過ぎないのかもしれない。(text by 岩瀬知菜美)

<SEBASTIAN X 『Power Of Noise』リリース・ツアー・ファイナル>
2013年11月22日(金)@恵比寿リキッドルーム

<セットリスト>
1. POWER OF VITAL
2. サディスティック・カシオペア
3. ROSE GARDEN, BABY BLUE
4. サマー・ハネムーン・ビート
5. GOODMORNING ORCHESTRA
6. ASO
7. ツアー・スターピープル
8. フェスティバル
9. 光のたてがみ
10. サマタイム・キル
11. 光/男/カメラ
12. 日向の国のユカ
13. 三日月ピクニック
14. ひなぎく戦闘機
15. 世界の果てまで連れてって!
16. MIC DISCOVERY
17. MY GIRL(姫君に捧ぐ)
18. ワンダフルワールド
19. ヒバリオペラ
20. DNA

En.1
21. つきぬけて
22. GO BACK TO MONSTER

En.2
23. 食卓の賛歌

En.3
24. F.U.T.U.R.E.

LIVE INFORMATION

2014年4月19日(土)@日比谷野外大音楽堂
SEBASTIAN X presents『TOKYO春告ジャンボリー』
詳細後日発表!

SEBASTIAN Xの音源配信はこちら

PROFILE

2008年2月結成の男女4人組。2009年11月6日に初の全国流通盤となる『ワンダフル・ワールド』をリリース。

その後も2010年8月に 2nd Mini Album『僕らのファンタジー』、2011年10月、1st Full Album『FUTURES』、2012年7月、3rd Mini Album『ひなぎくと怪獣』とコンスタントにリリースを続ける。独特の切り口と文学性が魅力のVo.永原真夏の歌詞と、ギターレスとは思えないパワフルだけど愛らしい楽曲の世界観が話題に。ライヴ・パフォーマンスとキャッチーなキャラクターも相俟って、シーンでも一際目立ちまくっている存在になっている。 そして、2013年4月に初のシングル『ヒバリオペラ』、そして同年8月、フル・アルバムとしては2年ぶりとなる『POWER OF NOISE』をリリース。

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